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  ホーム 学校授業のスパイス 「アイテム」企画特集 連動企画 日本教育新聞 2016 連動企画vol.1  

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「アイテム」企画特集 連動企画





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「分かった!」とひらめく瞬間を経験する(福岡県福岡市立 鳥飼小学校)

 福岡市立鳥飼小学校は、全校でアイテムを採択して2年目になります。立光浩美校長と、指導方法工夫改善担当の山下嘉文教諭に、活用のポイントをお伺いしました。

日本教育新聞2016年1月18日付「企画特集」と併せてご覧ください。



「解けない→考える」という体験をさせたい
 

― 普段から活用力をつける取り組みをされているのですか。

立光校長: 教員には、「解けない問題に出会わせなさい」と言っています。教科書の問題は標準的なものがほとんどですから、すんなり解ける問題をただ解いていく作業が算数だ、と思っている子どもが多いのです。子どもたちには、立ち止まって、「解けない」「難しい」と思ってほしいし、「世の中にはこんな問題があるんだ」と気づいてほしいから、アイテムを採択しているのです。

山下教諭: 今の算数の課題は活用力をつけることですからね。

立光校長: そう。だから、学校も変わらなければなりません。活用力を伸ばしたいならば、簡単な問題を繰り返しやるだけではなく、それなりの取り組みが必要です。

アイテムの特長と、実際の使い方
 

― 山下先生は今年度異動されてきて、初めてアイテムを使うことになったわけですね。

山下教諭: そうですね。教員になって24年たちますが、算数と言えば計算ドリルだったわけです。
計算ドリルから脱却しないことには、少々疑問を持っていました。

― 今までの計算ドリルとアイテム、どう違いますか。

山下教諭: アイテムにはいろんな問題が入っていますから、教員が使いこなせれば、子どもたちに算数の力がつくと感じています。
 アイテムを使っていると、子どもが、「先生この問題どういう意味ですか?」と聞きに来ます。それから、先生方が、子どもを個別に呼んで、アイテムを広げて指導しているところを目にします。子どもたちは、何とかして解きたいと思って質問していますよね。ですから、教員として、きちんと説明してあげられないといけないな、と思います。計算ドリルを使っていたときは、問題を通じて子どもと関わっていくということがあまりありませんでしたが、アイテムだと大いにあるわけです。

立光校長: 先生方は、クラス全員分のアイテムとノートを、きめ細やかにチェックしています。どの子がどの程度理解しているか、やっているか、やっていないか。アイテムをチェックするのは、計算ドリルをチェックするよりも手間がかかりますが、その手間のおかげで、子どもたちに力がついていくわけです。

― 先生方と子どもたちの取り組み方が違うということですね。中身については、計算ドリルに比べて分量が多いと思いますが、具体的にはどのように使っていますか。

立光校長: 始めの2ページは全員やります。活用、探究のページはできたら頑張ってやるように勧める。計算ドリルのところは宿題に出すことが多いですね。先生たちが自分で作ったチェックシートを使って進めています。

山下教諭: 計算ドリル以外の問題は、授業中に使うこともあれば、宿題にすることもあります。また、月に一回あるパワーアップタイムでも、アイテムに取り組んでいます。

探究問題への向き合い方
 

― 活用や探究の問題への挑戦のさせ方をもう少し教えてください。

立光校長: 分からない問題があったら、答えを写してもいいことにしています。その代わり、どうしてこうなるんだろう、と考えながら写さなければいけませんよ。友達に習ったっていいんです。「お前そんなんも解けないの?」と言われる関係じゃなくて、「これ解けると?すごいね!」と言い合える関係を作っていきたいじゃないですか。

山下教諭: 活用問題にチャレンジした、という経験そのものに価値があると思います。

立光校長: そうそう。いろいろな問題に触れて、自分から問題に仕掛けていく、試してみる、という経験が非常に貴重です。アイテムは、そのような経験を知らないうちにさせてくれるわけです。

― そういった経験は、学力の向上につながっているでしょうか。

立光校長: 成果は出ていると思います。学力・学習状況調査では、特に低位の子どもたちの、B問題の正答率が上がりました。低位層にいた子供が、中位層以上にシフトしています。アイテムを使っているので、塾に行っていない子どもたちでも、算数の良問に出会うことができています。出会わなければ挑戦することさえできませんよね。

ひらめく瞬間から、算数を好きになる
 

立光校長: 例えば鉄棒や作文は、クラスの中にとっても上手にできる子がいて、そういう子は「すごいね!」とみんなに言ってもらえますよね。それと同じように、算数の好きな子に脚光が当たってもいいじゃないか、と思うわけです。

― 先ほどの、「これ解けると?すごいね!」の関係ですね。

立光校長: そう。「これ解けると?すごいね!」。そこから、算数が好きな子が増えてほしいと願います。良問というのは、立ち止まって考えるきっかけをくれる問題のことです。解けない問題に向き合い続けていくから、新しい何かが見えるわけでしょう。私も、子どものころ、解けない問題にじっと向き合っていて、「ああ、分かった。」とひらめいた瞬間がありました。今でも覚えています。そこから、算数がおもしろいと思えるようになりました。解ける問題ばかりやっていてもつまらないじゃないですか。分かった瞬間の、あの何とも言えない高揚感を、子どもに味わわせてあげたいのです。


 


活用、探究の問題を経験することの大切さから、先生方と子どもたちとのかかわり方、そして、ひらめきの瞬間の魅力まで、熱いお話をたくさんいただきました。立光校長先生、山下先生、ありがとうございました。