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日本教育新聞「アイテム」企画特集連動取材 2009

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 今回、広島市立口田小学校5年3組田鍋慎一教諭の授業を拝見させていただきました。同校は、『子どもたちに何とか考える力をつけて欲しい』と先生方が一丸となって授業改革を進めてきたとのこと。ある子の考えを別の子が説明して、その連続がクラスに輪を作っていきます。この学び合いから人を尊重する姿勢も生まれます。今回取材に加わった私もクラスの一員として授業を楽しませてもらいました。多くの先生にこの授業の一端をお伝えできればと思います。

*当日の授業の様子については、1月12日付日本教育新聞「アイテム」企画特集、および「図形の面積」指導案(指導者・指導案:田鍋慎一教諭)を参照ください。本記事では、授業者である田鍋慎一先生と学校長、益田幸一先生のお話で構成しております。

CHAPTER 1 考えをつなぐ授業

 授業中、先生の動きが多くて汗だくの取材となりました(笑)。子どもたち全員が参加して、楽しんで授業に取り組んでいたのが大変印象的でした。最初に一人の児童が黒板に線だけを書いて、そのあとで先生がその子の考えがわかる人と、あえて他の子に説明を委ねました。多くの場合だと一人で説明をしてしまいますね。そのあたり先生のねらいはどこにあるのでしょうか?

田鍋先生

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 点と点をどのように直線でつないで5c㎡をつくるかを子どもたちに投げかけた時、見通しの立たない子がクラスには何人かいるかもしれない。本校ではそういう状況を想定しての授業づくりを心がけています。子どもたち自らが、続きを考たくなる場面をつくると刺激が与えられ、どの子も授業の中に容易に入ることができる状況が生まれます。一つでも二つでもできたという喜びがどの子にも持てるようにと考えています。本校では、「子どもの考えをつなぐ」という研究テーマで授業づくりを推進してきました。

 これは、筑波大学付属小学校の田中博史先生にご指導いただいたことなのですが、一人の子にすべて説明させるのではなく、途中でとめてみんなで続きを考えさせます。結論を急ぐ子どもには『秘密だから教えられないよ』とか言いながら。そんなことをいろいろやっているうち子どもたちは、『またか、じゃあ続きはぼくらが…』ということになるんです。他校でそういう話を紹介すると、『最後まで話をさせないとその子にとってフラストレーションがたまるのではないか?』と言われる先生もいます。そういう時は、『実際やってみてください』と言うようにしています。『子どもは自分の考えを友だちが考えてくれるだけで満足していい顔します。ほかの子も発表の機会が増えて、みんなで共通理解ができますよ』、とお伝えしています。今日の授業では、結局中学で学習する定理を扱っているわけですが、研究会に中学校の先生方が見に来られた際、『こんな風にすれば、生徒もくいついてくれるかなぁ』と言われていましたね。

 子どもたちが自らで考えることの習慣化を意識されているんですね。

田鍋先生

 本校では、1年生の時から、友だちがどんな考えを持っているかを子ども一人ひとりに推理させたり、問題を聞いて、絵や図に表したりという活動を先生方に指導していただいています。私がこのクラス(5年3組)を受け持った時には、すでに子どもたちにそういう力がついていました。考え方を絵や図にして表すことで、ある子が『こんな図、描いてみたよ』と言えば、『あ、だったらこんな風に考えることができるね』と、友だちどうしの関わりも深まります。この4年から6年へと向う時期は、2つの量の関係、関数等の数理的感覚を養う必要があります。ですから、今までとは違った図の描き方で場面を捉えることを教えたり、対応数直線や4マス関係図等も5年から書かせたりしています。

 授業の中で、絵や図を描くことによって友だちとの学びあいが生まれてくるんですね。
友だちの考えを他の子が途中から補足するというのは結構難しいような気がするんですけど、子どもたちにとってそのあたりはどうなのでしょうか?

田鍋先生

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 まだまだ難しい子も沢山います。先にも言いましたが、そうした子どもも授業に参加できる工夫をしていくことは大切です。私の場合、授業の中に『推理タイム』という時間を設けています。今、黒板の横にはみんなが考えた三角形の面積の求め方が貼ってあります。三角形の面積の公式を習っていない段階で、三角形の面積の求め方を自力解決した子どもにその求め方を全部発表させるのではなく、『長方形に直しました。式は4×3です』までを発表させておいて、この続きをみんなで考えてみましょう、としました。これが推理タイムです。グループで集まって実際にこの子はどう考えたのかというのを相談する時間をとりました。友だちの考えを推理するというのは結構楽しいようです。はじめのうちは、『自分の考えも発表できないのに友だちの考えなんか推理できないよ!』という子も多いのですが、何度もやっていくうちに、『僕らはこう考えたんだけど、あなたたちはどう?』みたいな空気が広がります。友だちの考えなので自由に言えるものだとわかれば安心できるようです。だから間違っていてもいいや、という雰囲気づくりは大切ですね。低学年だったら『名探偵コナン』になった気にさせる。そんな雰囲気づくりをしたりとか。各学年、そうやって先生方が工夫して指導を進めていますのでだいぶ慣れてきたところがあります。

 今日、拝見した授業での問題の出し方も全員で推理をさせていくようなかんじでした。こういう問題の出し方を学校ではされているのですか?

田鍋先生

 以前に「子どもから問いを引き出す」というテーマに取り組んでいたこともあります。そこでの研究の成果を取り入れて、私の組では(架空の出題者として)ミスターXを登場させるようにしたんです。ミスターXの出題は、問題の中で数字の部分が四角で隠されていたり、子どもたちに絵や図に表すことを要求したりするものもあります。教科書を開きましょう。今日は何ページですというのではなくて、問題の提示の仕方を工夫することで、子どもたちの興味ひくことも大切なのではないかと思います。

CHAPTER 2 「アイテム」算数を活用して

 「アイテム」を導入した経緯を詳しくお聞かせいただけますか。また、「アイテム」は従来の副教材と性格が違いますね。そのあたり保護者の方々にどのように説明されていますか?

田鍋先生

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 算数の研究校(2005年-2006年)ということで田中先生に来ていただいて授業を実際にしてもらいました。その時から、皆さん(先生方)の授業に対する意識が変わりました。『あぁ、算数ってこんな風にすれば子どもは食いついていろいろと考えたりするんだなぁ』と。そして『面白い!』といってくださる先生が徐々に増えはじめました。ちょうど筑波での研究会に参加し、「アイテム」の見本を持ち帰ってきました。その後それぞれの研究部会や教材採択委員会で内容を検討し、校長先生、教頭先生にも採択の了解をもらいました。(通常の教材には)「アイテム」の「考える力をつけよう」「発展させよう」に対応する問題がないですよね。

 保護者に対してですが、最初に採択した年は「考える力をつける」とういうのが本校の研究テーマとなっていましたので、『子どもたちに考える力をつけるための良問が載っている教材なのでこれを採択します』と、学年だよりだとか学校だよりで保護者にお伝えしました。『全ての問題を全員が解くのは難しいので、「練習しよう」とか「確かなものにしよう」は、ちゃんと授業でやります。だけど子どもたちのスピードや考える力に応じて、「考える力をつけよう」、「発展させよう」、「授業でわかる!」、「スペシャルアイテム」まではいたらない子どももいることが考えられます。そこはご理解ください』と、いわば条件付きで保護者に確認、了解をとりました。保護者からの反応は、『先生、(子どもが)ひとりでも一生懸命やろうと思って頑張っているんですよ!』とか、年度の終りに『(「アイテム」)全部すんだ!と、嬉しそうに言うんですよ』というような意見がたくさん伝わってきて、もう(学校では「アイテム」を)止めましょうという話にはならなくなりました。最初は『負担になる』、『大変だ』ということを言われていた先生もおられましたが、今年も「アイテム」でいこうという話になっています。校長先生は、『確かに基礎基本の学力をつけることは大切だ。だけど、活用する力をもっている子どもたちも満足させたい』と言われます。校長先生もやはりこういう教材を、子どもたちに与えたいと思っています。

 授業では教科書が中心となると思いますが、導入されている「アイテム」は、実際、どのように使われているのでしょうか?

田鍋先生

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 まず、教科書ですが、『復習したい人は家に帰って見てね。何ページの何番あたりの問題を今やっているからね』と言って、ノートに縦線を引かせ、線の左側に教科書のページを書くようにしています。こちら(先生)だけが教科書を開いていて、先生が教科書を読むので、それを絵や図に表しなさいということもあります。また、教科書にある問題をクイズにかえて、その中から問いを引き出すこともあります。

 次に「アイテム」ですが、私が授業でやりたいと思う問題がここには載っています。具体的には、「授業でわかる!」「発展させよう」ですね。また、田中先生の授業が好きなので、それを追っかけているとこもあるのですが(笑)。特に、今日の授業みたいに発展できる単元では、子どもたちにしっかり考えさせようと「アイテム」を有効に使っています。ということは、その前の基礎的・基本的なことは少し縮めて扱うこともあります。今日の授業(「図形の面積」)は特にやりたかったので、ひとつ前の「三角形の面積」のところからずっと子どもたちに友だちの操作活動を推理しようという授業をやってきました。

 教科書の問題とくらべると、秘密をさぐるような、きまりを発見するような問題が「アイテム」にはあります。5年生の「授業でわかる!⑦~割合あてゲームをしよう」はよく授業の中で使いますね。『●●は○○の何%?』という表現のところをひっくり返して使ったりとか、『もとにする量は何?』とあわせて聞いたりしています。教科書だけでは子どもたちに考える場が作れないという時にヒントになります。以前はいろいろ(計算問題などの)練習をさせたり、少人数指導で多くの先生が授業に取り組んだりしてきました。確かに基礎・基本の知識理解のところはグッと伸びるんですが、思考力というところがなかなか伸びない。12月のCRT学力検査でも、子どもたちの伸びを確かめたのですが、考える力を要する問題には歯が立たない子どももいます。『うわー、こんな難しい問題僕らにはできないよ!』と、子どもたちはパッと見た瞬間に諦めてしまう。だったら日頃からそういう問題にあたらせて『なんとか僕らでも絵や図を書いて時間をかけて考えればできるだろう』というような思考力の逞しさを子どもたちにつけようということで、先生方にもお話して「アイテム」を採択しました。計算ドリルが(各単元ページの)下にいっぱいあって宿題とかに使っています。また、思考力を要する「考えるちからをつけよう」といったページは帯タイムだとか、宿題なんかでも出しながら子どもたちに考えることの楽しさを味あわせたいと思っています。

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「アイテムノート」というのを作られていたかと思いますが、どういう風に取り組まれているのでしょうか?

田鍋先生

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 昼の掃除が終わってから5時間目が始まるまでの15分間は「帯タイム」といって、広島市ではすべての子どもに基礎・基本を定着させる時間としています。本校の場合、思考力・判断力・表現力を育成する『ひろしま型カリキュラム』の土台作りとして、1週間に2日(5、6年は1日)算数学習の時間に「アイテム」を活用しています。その専用のノートが「アイテムノート」です。基本的には書き込ませていません。特に、ドリルについては何回もやるようにしていますから。

 帯タイムでは、「アイテム」の4つのステップの初めから、3つめのステップの「考える力をつけよう」までやるようにしています。例えば手ごたえのある「考える力をつけよう」は、15分で、その中の1問だけをやったりします。計算ドリルについては、授業の始まる5分間を使って、『じゃあ、今から5分「アイテム」のドリル何ページをやるよ!ヨーイ、ドン』といって「アイテムノート」にやらせたりします。一番沢山問題を解いた人の何ページ何番から逆に答え合わせをしていきますから、最後はみんながまるをつけておしまいというかたちになります。表が「アイテム」用です。グルッとひっくり返して、裏から「アイテム」のドリル用のノートとして使えるようにしています。「アイテム」の解答・解説の構成と同じです。「アイテム」の計算ドリルをする子は裏からどんどん進んでいきます。宿題でも使っていますから、子どもたちのノートが次々に教室の後ろにたまっていくんです。

 1年間で、「アイテム」のかなりの数の問題に取り組めているような感じですね。

田鍋先生

 はい。高学年だとなかなか難しいんですが、低学年では(学年末が近付くと)『終わった!全部すんだ!』という子どもたちの声が上がってきます。2,3年前までは算数だけを受け持っていましたから、いろいろなクラスに顔を出していました。あるクラスに行って『3年何組では全部終わった子が3人くらいいたぞ!』と言うと、『よっしゃ、ぼくらも全部終わらそう!』といったすごく意欲盛んなクラスがでてきたりしましたよ。

CHAPTER 3 算数科と国語科と

 授業の話に戻りますが、図で表したり、それを伝えあったりとかというのは国語の力とすごく関係していて、両輪になっていると思うんですけど、そうした進め方を国語の授業でも取り入れられているのですか?

田鍋先生

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 国語でも仕掛けづくりを心がけています。例えば、最後の筆者の考えを抜いた文章を出して、『ここはどうなんだろう』、『そこを考えたら理由はどこにあるんだろう』、といった逆思考ができる授業を現在、本校の先生方と一生懸命に取り組んでいます。先生方の気持ちが一緒で、育てたい子どもの像が同じなんです。これは本校の良いところで、私自身好きなところです。

CHAPTER 4 教師として

 算数の研究指定校を受けたときに、講師として田中先生を招聘され、多くの影響を受けたとのことですが、具体的にはどんなことでしょうか?

田鍋先生

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 筑波の研究会へ初めて行ったときに、算数研究室で田中先生にお会いしました。そこで広島の教育についていろいろお話をさせていただいたんです。現校長先生になり、本校の研究会の講師をどなたにするかという話になった時、田中先生に是非ということになりました。
 『教師の仕事は子どもの喋るエネルギーを培うことです』、と田中先生に言われました。また指導の具体的なところについては、『机間指導しているときに、できてない子の傍に立つでしょ。立った瞬間に(まわりに)その子はできていないといっているようなもんですよ』、と。だから、スッと傍に寄って『次に回ってくるまでに考えておいてね』と、ポッと一言おいてその場を去るんだと仰ってました。これは、なかなか難しいことなんですが教師として大切な姿勢だと思います。

 最後に今日の授業を振り返って一言いただけますか。

田鍋先生

 授業の最後に中田さんという子が、『中の点…』と言ったときに、みんなが『あっ!』と言いました。
あの『あっ!』という声がいつも聞きたいんです。

広島市立口田小学校HP → http://www.kuchita-e.edu.city.hiroshima.jp/

CHAPTER 5 学校長 益田 幸一先生 から

 田鍋先生のお話で、以前は、子どもたちが難しい問題にあたるとすぐに考えることを諦めてしまう傾向があった。そこで、授業の在り方を変えていくことで、子どもたちの授業に対する意欲が向上したとお聞きしました。

益田学校長
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 研究校として取り組む前は子どもたちの考える力がすごく弱かったのです。それではいけないと考え、研究部で6年前から田鍋(先生)を中心に子どもたちに思考力、考える力をつけようと算数科の授業研究に取り組みました。現在は国語科で(研究校として)取り組んでいます。

 本校では12月に1年生から6年生を対象にCRT学力検査を実施しています。他に5年生の基礎・基本定着状況調査、6年生の全国学力学習状況調査を合わせ、1年間で取り組んだ結果を検証しながら、その成果・課題を子どもに返し、保護者にも詳しく説明しています。そうした取り組みの成果もあり、テストの結果を見た限りでは、思考力・考える力は少しずつ身に付いてきたように感じます。

 赴任して4年目になりますが、1年目よりも2年目、2年目よりも3年目、4年目と、子どもたちが、日々一生懸命授業に取り組む姿勢は良くなっているという確信はあります。

 算数の研究校(2005年―2006年)の時、筑波大学付属小学校の田中先生が講師として実際に授業を行ってから、先生方の意識が高まったとお聞きしました。具体的にどういう点でしょうか?

益田学校長

 今日の田鍋(先生)の授業(「図形の面積」)の中で、途中で子どもの発表を止めていました。あれは筑波大学附属小学校の田中博史先生がよくやられますよ。途中で止めたりした場合、子どもは話を聞いていないとその続きを言えません。『○○さんは次に何を言いたかったのかな?』とその気持ちを考えさせたとき、場合よっては何通りも意見がでてくるかもしれません。一人の子どもに1回で言わせてしまえば、先生とその子どもの1対1の関係で終わりになってしまいます。何通りかの考えが出たらしめたもんで、そこからクラスに思考の輪が広がります。こうした授業を田中先生に2年間、実際にやっていただき、『あぁ、こういう授業の進め方もあるんだな』と参考にさせていただきました。研究論文や、文章からだけではわかりません。やはり、良い授業は実際に見ないとわからないですね。

 今回、国語科の研究発表会(2008年10月24日開催)では、講師として筑波大学附属小学校の白石範孝先生をお招きしました。そこで学んだことは、子ども一人ひとりが自分の言葉をもつということです。誰かが発表したら、(唱和して)『そうです!同じです!』というのではなくて、そこで立ち止まり、子どもたちに考えさせることが大切なのです。白石先生が『(意見が)同じですか?もう一回自分なりの言葉で発表してごらん』というと、出てきた子どもの意見はやはり違っていました。『ほら、違っていたじゃない。それでいいのだよ。“同じ”という言葉は簡単には使ってはいけないよ』というと、そこで、子どもは、どんなふうに言っていいのかと悩むのです。今まで、『はい、同じです!』と簡単に相槌を打てたものが、自分の考えを検証する必要が出てきて考え始めるのです。そこが、考えるということの始まりだと思うのです。同じかなと思ったことでも、突き詰めて自分の言葉に整理すると、主語が違っていたり、助詞が違っていたり、語尾が違ったりするわけです。そうしたら全然違いますよね。なんとなく同じかなと考えていたことが、実は違っていることがわかります。そうした白石先生の授業を拝見させていただき、ああ、なるほど、こうした手法も取り入れなければと思いました。

 『アイテム』についてのご意見をお聞かせください。

益田学校長

 私は算数が好きで、今でもNHKの高校講座を見ることがあります。算数科はパズルのようなものだと思っています。頭の中で、今まで習ったことや日常生活で使ったものを駆使しながら解いていくのが好きなのです。

 「アイテム」は基礎・基本が身に付いていない子どもには難しく思えるのかもしれません。しかし、子どもがすぐ解ける問題ではなくて、『脳味噌がかゆい!かゆいのだけど、何なのかな~』という問題にあたらせていくことが重要なのだと思います。それが、子どもを算数好きにさせるのではないでしょうか。解けた時の、直接脳味噌をかけた時の喜びが必要なのです。「アイテム」は、まさしく子どもたちが算数科を好きになる教材だと思います。子どもというのは、興味・関心がすごく高く、好奇心の塊だからこそ、1回こういう難しい問題を解けた時の喜びを経験させることは、次につながるのではないでしょうか。

 話は変わりますが、私はミニバスケットボールを指導していました。常に県で一位になって全国へ行こうと目標を高くしながら練習をします。目標を高くすることで、結果的に行けなくても、すごく子どもたちは伸びるのです。学問も全てそうだと思うのです。そういうことで、筑波の先生方の「アイテム」の発想は、まさしく私の考え方なのです。

○ あとがきにかえて

 素晴らしい授業を見せていただいたというのが素直な感想です。「考え方をつなぐ」という授業の実現は日々の先生方のご苦労の積み重ねによるものです。「子どもたちにこんな力をつけたい!」先生方のそんな強い思いは必ずや子どもを成長へと導く、そう確信しました。
 国語の公開研究会が終わってすぐという時期に取材に快く応じていただいた益田校長先生はじめ多くの先生方に心より御礼申し上げます。

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 最後に、取材のあとで一人の児童から手首にミサンガをまいてもらいました。『取材のお礼です。私たちの授業を多くの人に伝えてください。東京に戻られてもいいことがありますように』と。おかげさまで、多くの先生方を励ます力をもらったかな、と感謝しています。

ありがとうございました。

*本記事は、学校様のご了解をいただいた上で掲載いたしております。外部転載等につきましては固くお断り申し上げます。

資料

口田小学校の正門です。
口田小学校の学区は、広島市安佐北区の最南端に位置し、太田川周辺を見渡せる風光明媚なところです。

資料

行きかう子どもたちの元気な挨拶が印象的でした。校庭の花々も凛として我々を出迎えてくれました。

資料

今回、授業で参考いただいた「アイテム」算数5年に掲載の「授業でわかる!④」。このコーナーでは、筑波大学付属小学校 算数部の授業を見開き2Pの紙面に再現しています。

資料

さて、5c㎡の図形はいくつできるかな?
そして、ミスターXからの出題の謎は解明されるのか?

資料

「アイテム」5年に掲載の「授業でわかる!⑦」~割合あてゲームをしよう~
『このコーナーをベースにして授業をする際は、出題のし方をアレンジしたりします。子どもたちの思考力を広げるヒントになります』と田鍋教諭は話す。

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