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日本教育新聞「アイテム」企画特集連動取材

日本教育新聞「アイテム」企画特集連動取材2021

1/11号 日本教育新聞企画特集では、岐阜県・可児市立旭小学校を取材させていただきました。
今年は新学習指導要領が導入された年でしたが、新型コロナの影響を受け、新しいことへのチャレンジが難しい年でもありました。その中で、今年度からi*tem算数を取り入れた可児市立旭小学校様に、その経緯についてお話を伺いました。

日本教育新聞記者:

今年は新型コロナの影響で休校となり、再開後も様々な対応に追われていることと存じます。その中で貴校がi*tem算数を今年から導入した経緯について聞かせてください。

学校長:井戸 勇治先生

学校長:井戸 勇治先生

井戸校長:

私は本校着任前、岐阜県関市内の極小規模の小学校におりました。ゆったりとした環境で子どもはのびのびと学んでいたのですが、なかなか学力が伸びないという課題がありました。特に活用する力、文章理解、グラフや資料の読み取りの力を付けられないという悩みです。
 その頃、同じ市内の小学校から「うちはドリル学習をやめたよ。同じ問題をくり返し解くだけでは、今求められている学力はつかないと思って」という話を聞き、そこで初めて「i*tem算数」を知りました。前任校でi*temについて職員に聞いたところ、以前に使ったことがあり内容もよく理解している、という先生がいました。強い味方を得たので「それなら思い切って使ってみよう」という流れになり、前任校で初めて導入しました。これは一般的にですが、学校にはやや保守的なところがあります。教材ひとつ変更するのにも、抵抗感を持つ先生もいます。新しいものに対する不安なのです。従来のドリルならば見通しを持って指導ができますが、i*temのように未知のものに対し、見通しが持てない不安を抱いてしまうのです。どのように指導したらいいのだろう、保護者への説明はどのようにしたらいいのだろう…などですね。新しいものにチャレンジするということに、学校は抵抗感が強いのです。

意識改革のすすめ方 ~保護者に理解を求める~

井戸校長:

校長は、その意識を変えていかなくてはならない立場です。前任校には、使用経験がある協力的な先生がいて、近隣にはi*temを使っている学校がありました。近隣の学校が使っているなら…と他の先生も安心してくれました。前例があると、先生は大丈夫だと思えるのです。前任校では、PTA総会など集会の中で保護者向けの説明も行いました。子どもたちの学力の現状を伝え、これから必要となる学力をつける教材を導入してみたいのですが、と話しました。田舎であっても、子どもの学力や将来に不安を持っている保護者はいます。保護者の了解も少しずつ取り付け、環境を整えていきました。
昨年本校へ異動して来ましたが、現状は前任校と同じでした。(学力調査テストの)活用問題が解けない子が多くみられました。まず、学校だよりに本校の実態を書きました。保護者に本校の学力の実態を知ってもらわなくてはいけないと思ったからです。学校だよりには、文章だけでなくグラフや表、クイズを入れ、保護者に「面白そう、読んでみよう」と思ってもらえるよう工夫をしました。ドリルからi*temに代えるとしても、最終的にお金を出して購入するのは保護者です。「i*temは買う価値がある」と保護者にも思ってもらいたかったのです。

~先生の理解を得る~

井戸校長:

学校だよりは保護者向けのおたよりですが、実は先生方に向けてのメッセージでもあります。これからの子どもたちに必要な学力について、会議で話すだけでは伝わらない内容も多いと思います。そこで職員向けのおたよりも出しました。おたよりには、全国学力調査テストの問題文を掲載し、読み取る力とスピードがどれだけ必要なのかを実感してもらったり、算数の活用的な問題を載せ、この問題が解けるような力が求められているのです、と伝えたり。なるべく具体的に、そして必要性を実感してもらえるような内容にしました。どうしても、この教材(i*tem)が算数では必要なのだと分かってほしかったらからです。
実際のところ、新しい学習指導要領に沿った学力を付けていくことを考えたとき、何も道具がなかったら戦えないと思いました。職員の意識改革を少しずつ行いながら、年度末(3月)を迎えました。年度末は、その年度の学校評価を基にして来年度の学校経営や教育目標を考えます。学力調査テストの結果やこれまでの取り組みの成果をもとに総括を行うので、改善や変革を聞き入れてもらいやすい。その中でi*temを検討材料として提案しました。実際の決定は4月の選定委員会ですが、そのテーブルに上がらないと選ばれません。4月に採用してもらえるように、i*temの具体的な進め方、ノートの取り方などを提案しながら少しずつ先生方を導いていきました。先生は基本的にとても真面目ですので、新しいものを取り入れる時も、きちっと指導できるように準備したいのです。ですから、指導のイメージをしてもらえるよう、伝え方を工夫しました。i*temは、これから必要な学力をつける教材としてとても良質な素材です。同様の問題を先生が探す、自作するとしたらたいへんな時間と労力を要します。今の現場にその余裕は、正直ありません。それならば、あるものを利用していきましょう、と話しました。そして今年度、3年生以上で採用することに合意してくれたのです。最初は先生の抵抗感が強いかなと心配でしたが、採用を決め、いざ始めるとなったらしっかりと向き合ってくれましたね。

先生や子どもの主体性を育てる

井戸校長:

i*temの活用方法や場面については、私から細かな指示はしていません。先生方に主体的に考えて欲しかったからです。言われたからやっている感じは決してよい結果を生みません。やるからには楽しく前向きでなければ…。それは先生も子どもも同じです。実践していく中で「こういうやり方があるよ」「このやり方いいよ」という交流が先生方の中に生まれて、最終的に本校の新しいスタイルが出来てくればいいなと思っています。その過程こそ先生方の力になり、子どもたちの力になると信じています。

日本教育新聞記者:

授業を拝見した限り、校長先生の思い描かれている方向へと進んでいるのではないでしょうか。校長先生の戦略通りでしょうか(笑)

戦略と言ったら大げさかもしれませんが、どのタイミングで何を先生方や保護者に提示して導いていくかは考えました。先生方も子どもたちもとても従順で、マニュアル通りに言われたことは素直にこなします。その通りにやれば間違えはないし、怒られることはないですから。でもそこに、新しい発想や想像力、自ら考える力は育ちません。それが学力調査テストの結果にも出ているのではないかと反省もしています。反省があるからこそ、そういう力をつけてくためにi*temを導入しました。自分で解ける問題に取り組もう、少し難しい問題にチャレンジしてみようなど、子どもの主体性を尊重できます。これからはそのような経験を積むことが必要なのだと思います。
可児市は「笑顔の学校」がキャッチフレーズですが、どの子にも笑顔がある学校、授業づくりをしてほしいという願いがこもっています。子どもたちに達成感を味わわせながら日々取り組んでいき、その積み重ねこそが「笑顔の学校」につながるのではないかと思って取り組んでいます。

次世代のリーダーの育成

日本教育新聞記者:

貴校には前向きな先生が多いなと感じましたが、全員が同じ方向を向くことは簡単ではないですよね。

井戸校長:

校長のような管理職の仕事には、次のリーダーを育てる、人材育成もあります。リーダーを育てることで、周りの先生も変わります。人材育成は、管理職の仕事の中でも一番大きなウエートを占めている、と私は思っています。教務主任も研究主任も、その資質にふさわしいと判断したからこそ、お願いをしてこの役職を引き受けてもらっています。校長がいくら「i*temはいいぞ!」と言っても、学校全体にはなかなか浸透しないし長続きしません。誰にどの役を担ってもらったら周りが動くのか、そのように人を見る目が校長には必要なのです。そして学校の環境づくりは大切ですね。そのひとつは学級経営です。本校はどのクラスも比較的落ち着いていて、子どもたちは学習しやすい環境だと思います。
子どもに力がついて育ってくれば、先生方にも自信がつきます。実際、今6年生の子どもたちは今年になってから算数の力がぐっと伸びました。何がきっかけとなるか分かりませんが、i*temもそのひとつかもしれませんね。

日本教育新聞記者:

スイッチが入ったのでしょうね。

本当にそうです。私たち教師の仕事は、子どもにスイッチを入れてあげること。あとは子供たち自身が自分で動いていきますから。スイッチを探し、どのタイミングでボタンを押すかがとても重要になります。そのために、先生は子どもが使えそうな素材や仕掛けをより多く準備しておきます。スイッチが入ったらすぐ使えるように…。その素材のひとつにi*temはなると思います。それらが使える子どもになってほしいと、私たちは日々願っています。

家庭学習をうまく活用する

井戸校長:

もうひとつカギとなるのは家庭学習です。
家庭学習を考えたとき、i*temはとても有効な教材だと思い、先生方に話をしました。学校だけの勉強ではどうしても足りないところがあります。特に今年は(コロナ感染拡大の影響で)休校期間があり、家庭で学習する時間が増えました。その分子どもがi*temと向き合う時間が多かったことも大きいです。家庭学習でも活用のしがいがある教材ですから。
学校が再開し、たとえ全部の問題が解けなくても、学校では解けなかった問題も家ではチャレンジスイッチが入ってやってみたらできた!という話を聞きました。解けた!という経験があるとやる気が生まれますよね。それが他のチャレンジ精神につながり、相乗効果となって様々な方向へ連鎖していけばいいなと思います。家庭学習においては、やはり保護者の理解が重要です。学校での取り組みを共有してもらえるよう、家庭学習ではこのように使ってくださいね、ということを学校だよりに書きました。
授業と家庭。両輪でうまくi*temを活用していると思いますので、これからが楽しみです。私自身、まだ始めて1年目だと思えない変化を感じています。
子どもたちのこれからのために、学校をよりよい方向へ変えていかなくてはいけない。そう考えたとき、有効な手段のひとつにi*temが浮上しました。自主学習も大分変わってきましたね。私たちは、よい素材をうまく活用していけばよいと考えています。

日本教育新聞記者:

校長先生の、学校経営に対しての様々な思い。学校を変えていきたい、子どもたちの姿を変えていきたいという願いが強く伝わってきました。本日は本当にありがとうございました。

【vol2.教員編】を読む

School Data

岐阜県・可児市立旭小学校
岐阜県・可児市立旭小学校
岐阜県可児市大森2078−3
児童数:468名
学校長:井戸 勇治

パンフレット「アイテム算数のご案内」

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